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勝谷誠彦コラム
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2006年1月17日
ライブドア強制捜査。
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 ライブドアに強制捜査の第一報が飛び込んできたのは大阪朝日放送の『ムーブ!』の本番が始まってすぐのことでした。16時過ぎにNHKが第一報を流した。すぐに日経も報じて、ウェブで流れました。


 たちまちスタジオは殺気だちます。隣にいるのは堀江貴文社長を個人的にも知っている宮崎哲弥さんです。「情報が入り次第、生で報じていこう」ということになりました。


 ところがその新情報が全く入ってこない。それどころか「地検はまだ捜索には入っていないと言っている」「ライブドア側も全面否定」などという情報が飛び交う。18時に番組が終わっても各局のニュースは不確かな情報を困惑顔で伝えている。いきなり「堀江社長のこれまで」みたいな資料VTRを流し終えたフジテレビには「フライイングじゃないの」という声さえ上がり始めました。


 結局六本木ヒルズに検察事務官が入ったのは18時過ぎで誤報ではなかったのですが、この情報の出かたは極めて異例です。捜索に入る前に、その事実が漏れることを検察は非常に嫌う。そういうフライイングをした報道機関に対しては、会見からの排除など執拗なイヤガラセをするのがこれまででした。しかし、この原稿を書いている17日正午現在、NHKや日経にそうした仕打ちがなされたとの情報は入ってきていない。


 捜索は不意打ちで踏み込んで証拠を保全するのが目的です。相手がIT企業の場合は電磁的な証拠がほとんどなのだから、その勝負の時間は通常より更に短い。敢えて言うならば、NHKや日経が報じた16時から実際に踏み込む18時半までの間に、パソコンのディスクから証拠を消すには充分な時間だ。そんな危険をなぜ検察は犯したのか。


 耐震偽装問題では、疑惑が発覚してから踏み込むまでに長い時間がかかり、国民の殆どが「ああ、証拠はもう消されただろうなあ」と感じていた。あまりに違う対応ではないですか。


 ここで思い出して欲しいのが、小泉さんが選挙の時にやったメディアコントロールの方法です。イラク撤兵や増税といった、自民党に不利な政策論議をメディア上でさせないために徹底的に、上書きするような話題を作り続けた。おねーちゃんやオバハンの刺客を次々に作り上げて逐次投入。阿呆なメディアは順番にそれを追いかけて、肝心な政策論議をするべき貴重な時間を無駄にしました。


 その方法が飽きられはじめたと感じるや、メディア占拠のために起用されたのがホリエモンです。その彼がまた今回主役を張って、メディアの時間を浪費している。


 何のために?本来ならば1月17日は何が報じられるべき日だったか。そうです。耐震偽装問題の小嶋社長証人喚問で、事件発覚いらいこの件に関する報道はピークを迎えるはずだったでないですか。そこに、ライブドア強制捜査という「上書きニュース」をぶつけてきた手法は、あまりにあの選挙報道の時の官邸の作戦に似てはいますまいか。


 利用されたのが検察と御用メディアです。予算を握られて与党に頭が上がらないNHKと、偽装問題が広がって景気が下がることを避けたい財界のポチの日経。彼らの役割は「フライイングをしてみること」です。検察がよりによってこの日に強制捜査に入ることに対して、私のように「おかしいな」と感じる国民がほとんどだろう。その時の言い訳に「メディアがフライイングしてしまったので、証拠隠滅を避けるために強制捜査に踏み切った」と言い抜けられる環境を作ってやったのではないか。


 検察が今やどれほど政権に近いかは、金正日と小泉さんがもう一度握手するための最大の障害だった西村眞悟さんの運命を見れば明らかでしょう。メディアと司法の両方を使って、耐震偽装問題が、土建屋に支えられてきた日本の利権談合共産主義の根幹を揺るがす事態になることをどうしても阻止したい勢力が動いたと考えるのはそう不自然ではありますまい。繰り返しますが、「いつでも可能だった強制捜査」が「この日この時に入る」方が何倍も不自然ではありませんか。


 更に言えば、この日は阪神大震災から11年目の慰霊の日でもある。メディアの予定稿の中には「あの震災の倒壊家屋の何割かも耐震偽装だったのではないか」というものがかなりあったとも聞きます。これまでそうした悪行を続け、浮いた金を政治献金に回していた人々にとっては、永遠に埋葬しておきたかった事実でしょう。それら両方から一気に愚かな国民の目を逸らすには、絶妙の、しかし分かりやすすぎる作戦だったというほかはありません。


 実は最初にニュースを聞いた瞬間は、私は自民党内部の権力闘争がいよいよ勃発したかと思いました。ホリエモンといえば武部さんですからね。しかしその後の両者の発言を聞いていると、そうではないように思えてきた。問題は「ホリエモンと武部さんの間で話が出来ている」か「ホリエモンはいきなり後ろから斬られた」かですが、今のところ後者の感触が強まっている。ホリエモンの狼狽ぶりがマジですからね。前回の選挙の時は「落選ぶくみ」でホリエモンは世論を引きつけるピエロをやってみせた。その対価がどれほどのもだったのかはわかりませんが。しかし、彼はそうやって汚れ役ができるタマであり、だったら今回もそうなのかとも思えなくはなかった。


 しかしライブドアの株価の暴落ぶりを見ると、彼は今回の件でたとえ立件されなくともすべてをうしなうリスクがあまりに多く「演じている」のではないのではないか。


 だとすれば武部さんという人は本当に恐ろしい人ですね。イエスマンというのはここまでイエスマンにならなきゃダメなんだ。考えてみれば刺客騒ぎの時も徹底的に冷酷に振る舞えましたからね、この人は。


 歴史上、あらゆる独裁者の横には、情報相や秘密警察長官としてこういう人物がいました。政権がひっくりかえると真っ先に人々に処刑される人ですが。


 あ、そうそう。ホリエモンは一時期信濃町にも通っていたようですが、そっちからもばっさりと斬られたわけですね。独裁者としては官邸にいる人よりずっと先輩のあんなモンを信じる方が愚かというものだ。信濃町方面にとっても、今回の偽装問題は深刻らしい。なにしろ同じ信心仲間の中でぐるぐると仕事を回していたらしいですから。どういう仕事ぶりをまわしていたのやら。


 さてあと2時間ほどで証人喚問です。民主党は相当な隠し玉を持っているとは聞いている。まさかウェブで読めるようなものではないと信じていますよ(笑)。


 メディアや司直まで巻き込んでのギリギリの権力闘争が轟々と音をたてて起きている。。いやはや、年明け早々、実に愉しい世の中になってきましたね。



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