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勝谷誠彦コラム
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2006年1月24日
ホリエモン逮捕!
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 東京地検特捜部はひょっとしてこのコラムのためにサービスしてくれているんじゃないでしょうね。堀江貴文容疑者は小菅の東京拘置所で例の強姦集団スーパーフリーの和田サン容疑者(爆笑)の隣の独居房に入れられると「サンケイスポーツ」は書いていた。「和田の隣にぶちこんでやる」というのが地検の合い言葉だったそうです。ライブドアとスーフリが似ているというのを最初に言ったのは『やじうまプラス』や『ザ・情報ツウ』での私でしょう。熱心な私のファンが特捜にいたりして。どはははは。


 いや、それはまあ冗談ですが、先週の当欄をそのまま繰り返したような月曜日の『ムーブ!』のスタジオでした。本番中にいきなりテロップで「堀江氏事情聴取へ」です。もっとも、これは番組が4時からで、市場への影響を恐れた特捜部が、マーケットが閉まってから動くとその時間になるという事情もあるのでしょうが。そのあと、番組スタッフと待機していると9時過ぎに「堀江逮捕」の一報が飛び込んできた、またまた動乱の月曜日でした。


 延々と逮捕のタイミングについて書いたのは、実はそのことにこの事件の大きさを解く鍵が隠されているからです。


 ホリエモンの逮捕は2月の10日前後と言われていました。というのも、特捜部の検事たちは3月いっぱいで異動がある。もし堀江を偽計取引と風説の流布でひっぱるとしたら、それぞれの拘置期限が3週間づつで一月半。3月末から逆算すると、2月の前半あたりには身柄をとっておかなくてはいけないわけです。


 それが大幅に早まった理由について、テレビに登場していた熊崎勝彦元特捜部長のコメントがリアルだった。彼は「ひとつは、呼んでおいてまた返すと、証拠隠滅や口裏あわせがあることを恐れたんでしょう」と言った。そして「もうひとつは」と言ってから急に言いよどんでしまった。


 「え〜、その〜、何というか。あってはならないことですが、悲しむべき事故とかが…」。記憶に頼っているのでちょっとあいまいですが私はテレビの前で爆笑しましたね。つまり、沖縄で「自殺」したエイチ・エス証券の野口英昭副社長のような「悲しむべき事故」が堀江たちの上にも降りかかり、背後の巨悪に迫れなくなることを特捜部は恐れたと言いたいわけだ。だったら「自ら命を絶つとか」と言えばいいのに、そこで熊崎氏は非常に逡巡した。検察中枢と極めて太いパイプを持つ彼だけに正確な情報が入っている可能性が高い。野口氏の死を「自殺」と言い切ることはかつての練達の検察官として、しのびなかったのでしょう。まあ、これは私の作家ならではの、心理観察ですが。


 野口副社長の死は沖縄県警によって「自殺」と断じられたわけですが、大マスコミの方々もそこには重大な疑義があると知っている。知っていながら書かない。例によってね。しかし、今週の半ばあたりには勇気あるメディアが報じるでしょう。私も卑怯にも逃げまして(苦笑)そちらに任せましょう。折しも国会も開会中です。このケースは、国会でも問題になる可能性もあるとだけ言っておきましょう。


 ライブドアがやっていたことの全貌が明らかになってくると、実はとても古典的な詐欺だったことがわかってきた。こういう馬鹿を持ち上げた「知識人」や「文化人」をメディアは一度総括すべきでしょうね。


 どこが古典的か。かつて天下一家の会というのがありました。ネズミ講です。日本中から莫大な金をあつめて潰れました。これを機会に「無限連鎖講禁止法」ができたわけです。ネズミ講とは、ご存じのように、子供,孫、と増やしていき、それぞれから金を集める。ピラミッド式ですから、上に行くほど儲かるわけだ。しかし、これには重大かつ致命的欠陥がある。地球の人口が限られている以上、どこかで限界に達するわけですね。


 ホリエモンたちがやっていたこともこれに近い。企業買収で時価総額をあげていくったって、論理的には企業の数には限りがあるのだから、その虚業は必ず破綻します。株を分割して広くおめでたい人たちに買ってもらうというのも、ネズミ講が末端会員を増やすのに似ている。根本的に、どちらも何かを作って富を生み出す「実業」の部分が致命的に欠けているのです。最近のマルチはせめてその「実業」の部分をみせかせようと健康食品や鍋なんぞを媒介にしているのに、それを作ることすら奴らはさぼった(爆笑)。


 だからどちらかと言えば「金庫の中には裏付けの金がある」と言ってペーパーをお年寄りに売りつけた豊田商事に近いかもしれない。「ブツ」は何もないんですから。


 豊田商事はご存じのように弁護団の活躍によって被害者にいくばくかの金が戻りました。しかし、ライブドア株の場合は、上場廃止になるとほとんどタダの紙切れ。株式相場で踊るというのは、ペーパー商法に騙されるより危険だったんですね〜。



 さきほども少し書きましたが、ホリエモンを誰がどう評価したかはきちんと総括すべきです。武部さんや小泉さんも含めて。民主党の前原代表が、ホリエモンを広告塔として利用した選挙は粉飾選挙ではないかと言っていたがその通り。武部のおっさんが「風説の流布」を担当したわけですな。私はあの選挙を「悪質リフォーム詐欺選挙」と呼びましたが、粉飾選挙でもあったわけだ。となればそこで出来た今の政権は「改革偽装政権」だ。与党の鉄筋だったカネの本数が減らされているだけに、政変という地震が来たら、意外ともろく崩れたりして。どはははは。


 メディアに登場している連中のすり寄り方も酷かったですね。これは大きな活字で書いておきたいのですが(笑)、私は一貫して批判してきました。昨年3月26日のウェブ日記に私はこう書いています。<最近週末になると何故か憂鬱なのはどうしてかさきほど釈然とした。午前中の各局の報道ショウで堀江貴文の顔を延々と見なくてはならないからなのだ>。これがまっとうな人の感覚だと思っていたのですが。こうも書いている。


 <堀江というのはまさにこの腐臭漂う世相にふさわしい踏み絵として私たちの前に出されたと私は思っている。飲み屋で周囲の会話を聞いていると堀江の名前を出す時にひとはある種の緊張をしている。それは初対面の相手にプロ野球の贔屓の球団を切り出すのにも似ているのである。つまり堀江を好きか嫌いかで相手の価値を量るという感覚が日本人の中に出てきているということなのだ。連日のように垂れ流される街頭インタビューで喋っている人々の中で本当に株戦争のシステムを理解しているのは1%もいないだろう。あれは要するに堀江が好きか嫌いかを聞いているのに過ぎないのである>。


 心の中で不愉快に思っていた人は、今ホッとしているのではないでしょうか。


 ちなみにこの週の『サンデープロジェクト』で堀江は「金融部門てすごく儲かるんですよ。本当ですよ」。と言っていた。この時にはもう今回の容疑のようなことをやっていたわけだから、はからずもホンネが出たというところでしょう。


 激震、政界を巻き込んでまだまだ続きそうです。



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