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勝谷誠彦コラム
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2006年2月28日
荒川金メダルウィニングラン流さぬNHK。
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 困ったなあ(泣・笑)。先週私は当コラムでこう書きました。


 <いかに、懲罰動議5回と最多を誇り、記者にも嫌われまくっている永田議員とはいえ(失礼・笑)鉄砲玉というわけではない。質問内容はすべて、党のチェックを通っているんですから。だからメディアが党の幹部に「自信があるのか」と聞くほどバカバカしいことはない。自信がなければ自爆行為なんだから。>


 ひえええええ。民主党の馬鹿さ加減を私は見誤っていた。<党のチェックを通って>いなかったんですね。27日の京都でのインタビューで前原代表はこう言っている。


 「(永田議員は)裏をとられるべきだった」。おいおいおい。予算委員会での党を代表しての質問の内容の裏どりを、民主党は個々人に任せているんかい。あまりに政界、いや世間の常識から外れた党運営であって、さすがに私もそこまでは予想していませんでしたよ。<自信がなければ自爆行為なんだから>ってアンタ、ホントに自爆しちまったよ。とほほほほほほ。


 ある民主党の議員は言います。「党の政務調査会長のもとに、スタッフはいるけれど、とてもじゃないけどこんなに複雑な案件の裏どりなんてやる能力はない」。だとすれば個々の議員の能力にかかるのでしょうが、東大工学部を出ているくせに、メールのプロパティの詳細を要求することすらしなかった永田議員にそれを求めるのは無理というものだったのでしょう。しかも工学部ですよ。あたしゃ、それを知った時はひっくりかえりそうになりましたね。法学部や経済学部から財務省だとばかり思っていた。まさか理系がそんなメールのイロハも無視していたとはねえ。


 こうなると最悪のケースも考えておく必要がある。すなわち永田議員の自作自演です。あるいは役者の中には情報のブローカーだったとされるライターも含まれているのかもしれない。気になるのは、黒塗りのしてあった場所です。受け手と送り手が同一であるという、情報の根幹をゆるがす部分を塗り潰してあるのはもちろんですが、私が注目したのは「問題があれば」という部分。これ、情報源の秘匿には関係ないですよね。


 しかし、塗り潰してあれば質問の時に迫力がある。指示に留保がなくなるわけですからね。「問題があったから」実は送金はなかったという逃げがなくなる。とすれば自分の質問のための改竄といってもいい。そんなことをやる男なら自作自演もするだろうという考え方です。


 しかしこうも分析できる。最初からまったくの偽造なら、こんな留保はつけなければいいんです。自分で打っているんだから、簡単な話だろう。私はどちらかというとこちらの方に着目します。確かに、転送を重ねたメールかもしれない。しかし、何か「タネ」はあるんですよ。オリジナルになった何ものかが。それが、民主党幹部が追っていたものと重なったんでしょうね。もちろん同情は不要ですが。




 では、その民主党幹部が興奮して追っていたものとは何か。実は、ここへきて私の情報源もかなり自信をなくしてトーンダウンしているのですが、先週末時点では、何人もが熱くこう語っていた。


 香港でもスイスでもケイマン諸島でもない海外の第4の地に、自民党のある議員の口座がある。そこに、110億円という金が流れ込んでいる。


 その機関はアメリカのブッシュ政権の周囲もロンダリングに使っている場所であり、だから今回の永田爆弾は日米を巻き込んだおおきなスキャンダルに発展する可能性があり、あの質問のあと官邸はすぐにホワイトハウスと情報交換をした。一方で民主党の情報源となるアメリカのシンパもいて、今そちらからデータを集めている…。


 ホントだとすればゴルゴ13も真っ青な世界です(笑)。民主党幹部のあの自信マンマンの表情を思い出してください。


 更にこのルートは、日本の闇社会とも繋がってくるとその筋は説明していたのです。くだんの金融機関と自民党をつないだのは、エイチ・エス証券。すなわち沖縄で怪死した野口英昭さんの会社です。


 野口さんの死にはまだまだ疑問が残る。『週刊文春』が報じたように、現場には血のついたシャツが残されていたが、これが遺族のもとに戻っていない。既に報じられていることですが、私は報道を見て書いているのではない。民主党の調査部隊は野口さんの遺族にも接触して、直接の証言を得ているのです。県警は「返した」と主張するらしい。「とりに来た女に渡した」と。しかし、そんな女は遺族の中にいないのです。


 それやこれやの点と線が、民主党の幹部の中ではごっちゃになって、燃えに燃えていた。そこに永田の坊やがあのメールをくわえて飛び込んできたわけですから「いけ〜!」ってなものだったのでしょう。


 メールの真偽はわかりません。しかし、だからといって民主党が探っているルートが死んだわけではない。前回書いたように、自民党はなんとかメールの真贋論争の方に世間の目を向けさせて、本筋を忘れてほしいのでしょう。それにまんまと乗せられるか、恥をしのんででもここは踏ん張って、きちんと調査を続けるか、民主党の底力が試されているというわけですね。




 ライブドアの熊谷史人取締役が逮捕されました。彼は「ユダ」だとも言われていたわけですがこの逮捕で、そうではなかったと言えるのかどうか。今後の検察の処分のしかたでわかるでしょう。早期に保釈が認められるられるようならユダであることを隠すための偽装逮捕だった可能性も見えてくる。


 『AERA』の最新号で熊谷と親しかった記者が彼のひととなりを書いていますが、私も接触のあった人物から聞きました。とにかくよく喋る人だったらしい。飲み屋に行くと社が今後考えているプロジェクトから何からよっぱらってベラベラとしゃべっていたとその人物は言う。


 そんな人間に、堀江が本当の機密を預けますかね。『AERA』では熊谷は粉飾などについて本当に知らなかったと言っているが知らなかったのではなく「知らせてもらっていなかった」のではないか。つまり、熊谷というのはライブドアが虚業ではなく実業であるように見せかける「真の宣伝塔」だったのではないか。ライブドアの宣伝塔は堀江だとみんな思い込んでいるが、彼のうさん臭さに気がつく人は気がついている。ひとの良さげな熊谷の存在は、その「毒消し」として最高だったのです。だからこそ、球団買収の時も、フジテレビや文化放送の時も、彼が全面に出た。「表社会との実務の接点」の役割を持たされていたのでしょう。


 ということは逆に読むと、その裏のライブドアの闇はそれだけ深いということです。熊谷を叩いてもおそらく何も出ては来るまい。とすれば、さきほど書いた偽装逮捕という4文字も真実味を帯びてくるというものです。




 荒川静香選手の金メダルは見事でしたね。しかし、そのあとの日の丸を背負ってのウィニングランを、みなさまのNHKは何故か放送しなかった。演技のVTRや観客席や天井を映す意味のない映像でカムフラージュした。怠慢なのか意図的なものなのか。荒川がもっとも人間的な部分を見せたところだっただけに、怠慢だとしたら許しがたいし、意図的だとすると、誰に対する遠慮なんでしょうか。日本の代表が国旗を背負って喜びを爆発しているシーンを流さずして、何の公共放送か。これで受信料を払わない立派な理由ができましたね。「荒川選手のウィニングランを流さないような局に受信料は払いません」。さあ、みなさん徴収に来たら言ってみましょう。どういう反論がなされるのか楽しみというものです。




 フィリピンでもタイでも政府と民衆の間の緊張が高まっています。タイでは小泉さんなみの順風満帆だったタクシン首相が身内の金銭スキャンダルで躓きました。一発逆転を狙って総選挙に打って出たところも、どこぞの首相にそっくりですが、こちらは野党がもっと賢いので(笑)選挙そのものをボイコット。民主党もあそこでボイコットしていたらどうだったのかなあ。なまじ「勝てる」と思ったのが大間違い。しかし自民党の大逆転の原資が、先に書いた110億円だとすれば、この国の政治はもうタイなんかよりずっと下だなあ。おっと本筋から外れました(苦笑)。


 まあ、タイという国は、本当に流血しそうな事態になると必ず王様が出てきます。そして両者を呼びつけて和解させる。過去にも何度もそういうことがあって、そりゃ見事なものです。わが国ではそれはできませんが、皇室典範をめぐる国論の分裂を、秋篠宮紀子妃殿下ご懐妊という慶事でもってみごとに阻止した。いずれにしても、王室や皇室を戴く素晴らしさというものが感じられます。


 一方で、フィリピンはそうはいかない。あの国には絶対的指導者というのがおらず、上院議員という名の大名たちがまだ戦国時代をやっていると考えればいい。


 マルコスが倒れたからといって政権が国民の手におちたというのは大間違いで、マルコス幕府からアキノ幕府になったというだけです。アキノ一族にしてもコファンコ財閥の係累であって、そうした財閥や大地主という名の大名が国土のほとんどを分け持っているのがフィリピンなのです。


 アキノのあと、軍人あがりのラモスそして映画スターのエストラダと、ちょっと大名ではない秀吉的な成り上がりが続いた。ところが、アロヨというのがまた名家であって、幕藩体制に逆戻りしたわけですね。アロヨ大統領、あのフィリピンパブのチーママみたいなかわいい容貌に騙されてはいけません。封建勢力の代表者なんですから。


 ですから、タイとちがってフィリピンではまた民衆の手に政権をという揺り戻しが来る可能性があります。しかし、今のところその中心になるスターが現れていない。私としては、クーデターを繰り返してきた民衆の英雄、グレゴリオ・ホナサン元大佐にして元上院議員あたりが中心になってくると面白いと思うのですが。フィリピンは、私の青春が埋まっている地です。ああ、血が騒ぐ(笑)。




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