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勝谷誠彦コラム
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2006年12月12日
安倍総理の切り札。
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 46歳になっちゃいましたよ。


 もっとも、先日専門家に見てもらったら10歳は若いそうですが。


 CTで全身を輪切りにされたんですが、嫌なもんですね。内蔵の断面が次々と見えて来る。何か、コブのようなものがあったらどうしようかって(笑)。


 私、人間ドックどころか、健康診断も一切受けないんですが、こういう奴に限って病気にならないんだな。逆に、あらゆる健康法を試している人は、よく病気をする気がする。病気になるんじゃないかってクヨクヨしていること自体が、大変なストレスじゃないんでしょうかね。




 ストレスといえば、安倍晋三さんは今とんでもない職についたと思っているんじゃないでしょうか。


 どうも、目から精気が消えていっている。と同時に支持率も急降下です。


 総理大臣なんて、ちょっどこかがおかしくないとやってられないんだと思います。小泉さんが変人なのは万人が認めるところだが、その前の森さんも相当ヘンだった。あそこまで万人に馬鹿と言われて平然としているのは、ひとつの能力です。


 小渕さんだって「借金王」とか自分で言ってのほほんとしていた。それでも、ああやって倒れちゃったんですから。


 この3人と比べると安倍さんの線の細さがよくわかるでしょう。


 線が細いから、逆にものごとを巧緻にやろうとしすぎて失敗する。


 復党問題では丸く納めようとしすぎて、中川幹事長にしてやられた。彼は個人的に嫌いな平沼さんを苛めようとして、復党のハードルをあげた。結果として問題が長引いて、国民が「古い自民党」をしみじみと感じるハメに。それはそのまま支持率の低下になっていますよね。


 前回、道路特定財源の一般財源化が安倍内閣の試金石になると書いた。まさにそうなってきちゃいましたね。


 こちらでも、安倍さんはヘタを打った。復党問題で国民の反発を買ったのが、よほどこたえたんでしょうね。今度は急に人気とりをしようとした。


 道路賊が黙認していた重量税の一般財源化だけではなく、揮発油税にも手をつっこもうとして大ヤケドしたんです。


 どうせヤケドしたならそのまま突き進めばまだ向こう傷ですんでのに、今度は慌てて撤退した。


 政治家としてはもっともやってはいけない進退です。


 小泉さんなら突っ走ったでしょうね。そして「特定財源を例外なく一般財源化する。イエスかノーか。ノーと言うのは古い自民党だ。そういう奴は自民党から出ていけ」といって、また解散総選挙をちらつかせたでしょう。道路賊イコール古い自民党なんですから、これはある意味で郵政民営化なんかよりも国民にはわかりやすい。しかも、道路公団民営化にはじるま改革の本丸です。


 おまけに、全国の知事が談合で逮捕されて、土建立国にはものすごい逆風が吹いている。ここで解散総選挙やれば、小泉さんなら圧勝だったと思いますよ。


 参院選を待たずに、小沢さんは失脚する。結果として、次の参院選も楽に戦えるようになったことでしょう。


 もちろん、官邸もそれを考えたかもしれない。しかし、安倍さんには出来なかった。こうして、選挙で民意を問うというやりかたそのものの手足を、実は自分で縛ってしまったからなんです。


 どういうことか。郵政造反組の復党を認めたからですよ。小泉さんがやった、ひとつの政策を問うための解散総選挙という手法そのものを、復党によって否定してしまった。復党させるならば、何のためのあの選挙だったのかということになるでしょう。


 かくして、二重三重の負のスパイラルに安倍さんは落ち込んでいるというわけです。




 こうなると彼の切り札は、外交しかない。とはいえ、中国と韓国とは仲良くなってしまった。ここでも、自分で、切るカードを減らしているんですね。


 残るは将軍様の力を借りるしかない。


 そこで、しきりに朝鮮総連系の施設へのガサなどを繰り返していますが、まあ、浮揚力としては小さいでしょうね。


 金正日が暴れ回れば暴れるほど、安倍さんにとっては追い風になるわけですが、ここへきて、妙に融和的なムードが漂いはじめているのも、マイナス要因です。


 なんと、北朝鮮が六カ国協議への復帰を決めた。


 大マスコミの方々は、アメリカがハードルを下げたとかきたてる。それに応じて、あたかも北朝鮮が核開発をストップするかもとまで言うマスコミもある。


 しかし、これはとんでもない甘い観測でしてね。外報部ではなく政治部の記者が記事を書くから、こんなにトンチンカンなことになるんだと、真の専門家は私に嘆いてみせました。




 復帰が年を越そうと越すまいと、たいした問題ではないようですが、面子を重んじる儒教国家としては、大変な違いらしいんです。仲介役の中国としては、何がなんでも年内にテーブルにつかせたかった。


 一方でアメリカのヒル国務次官補は、クリスマスにはおうちに帰りたい。これ、ウソのようなホントの話(爆笑)。


 このヒルという人は、やたらと北朝鮮に融和的で、楽観的な報告ばかりしてして、国務省が判断を誤ってきた。ところが、今回ばかりは言ったことがあたって、大はしゃぎしているそうですよ。


 ヒルさんがクリスマスにこだわると、24日以降は事実上の会談はできなくなる。寒くなる一方の朝鮮半島で、北朝鮮としては一日も早く、食料とエネルギーが欲しい。


 かくして落としどころが18日の再開となりました。




 繰返しますが、これはアメリカが妥協したわけでは決してない。


 そもそも六カ国協議と言うのは、北朝鮮に核を持たせないために始まったわけですから、「核保有国として出席する」という北朝鮮の行動自体がもう矛盾なんです。


 5ヶ国側の主張は@寧辺の核施設の公開。AIAEAの査察の受け入れ。B保有核施設の申告。C核実験場の閉鎖。といったところで、これに対する見返りは金融制裁と、エネルギー援助に関する検討委員会の設置です。つまり、要求は、いわば北朝鮮の武装解除であり、見返りは援助の「検討」でしか過ぎない。どう見ても、北朝鮮にとってはおいしくない提案でしょう。


 しかし、いわば形としては北朝鮮はこれ「論ずる」ことを呑んでテーブルについたわけです。「論ずる」というだけであって、条件はすべて突っぱねるに決まっている。


 それでも、北朝鮮は目先の食料とエネルギーが欲しいということです。このまま行くと、農作物の端境期に当たる、来年の3月4月に北朝鮮は完全に飢える。


 中朝国境では、人民による暴動も見られはじめています。金正日のグリップもさすがに緩くなっている。


 体制転覆を防ぐためにも、ここはひとつ「つかみ金」のような援助でも欲しいのです。ホントはここでもうひと締めすれば、あの国を潰すことができるのに、また南にいる同志が助けてしまう。


 協議に復帰をすれば、盧武鉉がコメと重油の援助をすると言っていますからね。なんとかこれをやめさせる方法はないんでしょうか。安倍さん、この直談判にソウルに乗り込めば、少しは人気が回復するかもしれませんよ。わはははは。




 アメリカは交渉のテーブルについてやる一方で、謀略的なゆさぶりもかけている。5030作戦というそうですが、たとえば、偵察機を上空を飛ばしている。


 これを迎撃するために北朝鮮空軍が飛行機を発進させると、確実に重油を食うわけです。北朝鮮の重油の備蓄は60万トン。「戦争をしない軍隊」(爆笑)の自衛隊が年間消費するのが150万トンですから、北朝鮮はどうやって戦争をするつもりなんでしょうか。


 逆にいえば、こうして通常兵器がもう使えないからこそ、核が必要なんです。そして、核を奴らが手放すわけがない理由も、ここにあります。核放棄は、事実上の完全武装解除なんですから。


 5030作戦では、ほかにVOA(ボイス・オブ・アメリカ)の朝鮮語放送を増やしたりしていますね。周波数のダイヤルが固定されているといわれる北朝鮮のラジオですが、最近手は中朝国境を越えて持ち込まれるラジオがかなり普及している。以前の食料危機の時とちがって、人民は世界情勢を理解している。体制転覆のパワーは着々とたまっているわけです。


 これを後押しするには、ラジオなどを配るのがいい。アメリカはこれも5030作戦の一環としてラジオに食料をつけて高空から投下しているといいます。


 実は停戦ラインの南側からも、以前、ドイツ人の活動家が、ラジオを風船につけて飛ばそうとしました。ところが、韓国政府がこれを阻止した。


 いったい、どこの国の政権かと言いたいですね。やはり金正日の前に盧武鉉を倒すことが必要なようです。




 北朝鮮がらみで、遠いようで近い、面白い話をもうひとつ。


 石原慎太郎東京都知事と、先日談合で逮捕された水谷建設の水谷功元会長の会食と、金銭授受疑惑が漏れてきました。


 カネを森伊蔵の箱にいれて渡したとか渡さなかったとかいうのが笑える。この手法、完全に闇社会のやり方ですから。


 水谷という男のお里が知れた話です。


 ご存じのように、水谷建設事件では北朝鮮の影が続々と出てきた。いわば水谷は、北朝鮮のフロント企業であって、工作機関の匂いまでする。


 この水谷がなぜ石原さんに近づいたか。


 東京都は率先して、朝鮮総連関連施設への課税などのしめつけをしていましたね。それを見て各自治体もおずおずと、これまでの違法状態を改めようとしていた。


 その頂門の一針に影響力を行使しようとしたのではないか。



 まあ、穿った見方だといいんですがね。




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