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20年前、沙羅樹というAV女優さんがいました。高い人気を誇った女優さんでございます。彼女の一風変わった名前の由来はデビュー作を撮影した八重山諸島にある黒島にございます。
彼女の他に13人の女優さんを引き連れて二週間で14本のAV作品を撮る、という強行軍の日程の果てに最後にカメラの前に立ったのが彼女でした。
が、もうその時の私は性根尽き果て頭カラッポ状態、目の前にいる彼女に決めてあげなければならない女優名がサッパリ頭に浮かんできません。アア、時間が無い、我が身が置かれている状況はまさしく諸行無常なり、となげきつつ次のフレーズの沙羅又樹・・・の言葉がよぎったとたん「あッ、コレで決まり」と付けたのが沙羅樹という名前でございました。
彼女が私のところでAV女優として活躍したのは4年余り、その間ハワイで一緒にお縄頂戴になるなど色々ござましたが「お父さんとお母さんに家を建てて上げたい」とのAV女優となった時の目的を成就した後、彼女はスッパリとAVを引退しました。彼女がAV女優を辞めることを聞いた6歳年下の妹は「もうこれでお姉ちゃんのビデオを借りに行かないで済む」とうれし泣きをしました。
「姉の出演しているビデオを近所の人に見られたくない」と妹は、新聞配達や喫茶店のウェイトレスのバイトをして稼いだ金を全部注ぎこんで近所のレンタル店から姉の出演しているビデオを借りまくっていたのでした。
彼女がAV女優を辞めた翌年父が、そしてその翌年最愛の母が亡くなり、彼女は妹と二人天蓋孤独の身となりました。親戚からは彼女がAVに出演したことで親戚の面汚し、と絶縁宣言を受けていました。そんな時知り合ったのが同じ年の医学部に通う学生のAさんでした。Aの家庭はAが医学部に入学した同時期に父が経営していた会社が倒産、貧困にあえいでいました。
Aは必要な医学書を満足に買えず、父と母は病弱となって床に伏せってしまいました。そんなAと家族に彼女は献身的に仕えました。Aの妹がAの後に続いて私立の医学部に合格した時、彼女は父と母の為に建てた家を売って入学金を用立てました。
そして十二年の歳月が流れAが一人前の外科医となった昨年、Aは突然彼女に別れを告げました。理由は「AV女優は家風に合わないから」彼女は諸行無常を生きてこの秋、再びAVの世界に戻ってくることとなりました。
病身の妹を救いたい、人に尽くすことだけに生きてきた彼女の最後のご奉仕に、喝采いただきたい思いでございます。
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