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村西とおるコラム
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2006年11月15日
横井英樹
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 乗っ取り屋として戦後の経済事件史に一世を風靡し、その名をとどろかせた横井英樹の晩年は、ホテルニュージャパンの火災で刑事被告人となって法廷に立たされ、実刑の罰を受け、70歳を過ぎて懲役を務める破目に陥るという、厳しくも淋しいものでした。


 世間的には悪しざまに云われすこぶる評判の悪い男でございましたが、以外にも彼に近しい身内や友人、従業員の間では人望があり、故人となって随分たった今日おいても彼を慕う声が絶えぬのでございます。


 彼の世間には知られざる人間性を物語るエピソードがございます。ニュージャパンの火災で、一番多く犠牲になって亡くなられた外国人は台湾の方々でした。横井は毎年命日のその日になりますと、台湾の遺族の方々を日本に招待し、大体的な法要を行ないました。


 慰霊の刻が終了すると、横井は参加した台湾の遺族の方全員を、日本の名所めぐりの旅行に案内し豪華なおみやげをプレゼントすることを常としました。決められた賠償金を全額払った上に、20年以上の永きに渡って私財を投じ率先垂範の手厚いもてなしを欠かすことのなかった横井と台湾の遺族の人々の間には、いつしか熱い信頼の絆が芽ばえていました。


 横井の葬儀に参列した台湾の遺族の人達が「あの時の家族の死のように悲しい」と号泣した姿は、人間の価値とは棺を蓋って事定まる、ことを見事に知らしめるものであったと会葬者の間で、羨望をもって熱く語られたのでした。


 横井はまた無類の女好き、でも知られていました。息子が女優の星由里子と結婚、ほどなくして離婚したとき、あれは息子の留守に手を出したのが原因、いや元々自分の女を息子の嫁にしたんだ、と当時の芸能マスコミを騒がせたものですが、横井の常軌を逸した有名女優好きの性癖を知る関係者から見れば「さもありなん」と合点のいく離婚劇でありました。横井は「日本の有名女優の半分は喰った」と豪語するのを常としておりましたが、事実横井と関係を持つことによってスターの座を掴んだ女優の数知れず、でありました。


 彼の遺産というべき存在にK姉妹がおります。初めての出会いは帝国ホテル、ロビーにたたずむ横井の傍に、当時は三姉妹であった三人の女が近づき名刺を差し出します「先生に株の指南をお願いしたいんです」ギラリと光る横井の目、ここから先のキツネとタヌキの化かし合いはピカレスクロマンの趣きでございますが、時間がよろしいようでまたの機会に。




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