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村西とおるコラム
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2007年4月12日
私達の希望
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 50歳を過ぎますと「散る桜、残る桜も散る桜」の言葉が、心に染みるのでございます。来年も又、この桜を見ることが出来るだろうか、の考えが頭をよぎります。見ることが叶っても、健康でいて自分の足で歩いて見に来ることが出来ているだろうか、と思ったり致します。ヒラヒラと散る花びらが「次はお前の番だ」と意地悪に語りかけているように感じられて「まだまだクタばってたまるか」と闘志を燃やします。


 団塊の世代の花見は「自分の人生との語り合い」の趣でございます。花見客の混雑ぶりは大変なものがございました。アリの行進のような速度で進む人の群れの中におりますと、後から肩をタタかれました。振り向きますと大学生風の男女の青年がおりました。女子の方が「これ落とされましたよ」と手を差し出しました。彼女の手には黒い手帳とカード入れ、が握られてありました。見ればそれはまぎれもなく私のモノでございます。どうして・・・の私に男子の方が「あそこで」と、私がいましがた20分かけて歩いてきた200m後方を指差しました。


 そういえばあの辺りで先程、トメガネが外れて肩に下げていたショルダーバックを地面に落としました。その時のショックで、バックの中から手帳とカード入れが飛び出てしまったのでしょう。それを彼等が拾って、後を追いかけて届けてくれたのです。ここまでの距離を人をかき分けながら私の後を追いかけてくれた青年達、なんとご苦労なことでしょう。人が本当に感動したときは声が出なくなる、を体験しました。


 「アウウ」と言葉にならぬウメキ声を発しているだけの私を、青年達はどうみたのでしょう。「それじゃ」と片手を上げて清々しい笑顔を見せ去って行きました。反対の方向に流れて行く人の群れの中に消えて行く青年達の後姿を見ながら、ようやく「ありがとう」の言葉を小さな声で言えた私。バカバカバカ何故彼等の前で「ありがとう」と言えなかったのだ、今もって悔しくてたまりません。


 昨年一年間で、現金の落し物、として届けられたお金は都内分だけで26億円、だそうでございます。私たちが誇るべきもの、とはなんでしょうか。私たちの希望とは。26億円のお金をネコババすることなく届け出る正直な人達、雑踏の中で人をかきわけながら私の大切な財産を届けてくれた井の頭公園の青年達。あなたたちと同じ国土に住んでいるということ、それが私達の希望、誇り、でございます。






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