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欽ちゃんの例の「完走」が話題となっております。まずあれは果たして完走だったか、であります。テレビ興業師のしたたかな計算での「数分遅れで無事到着する」との演出があったにせよ、武道館にゴールをしたのだから「完走」といえる、との意見が大方でございます。が平均時速3Kmでは「完走」ではなく「完歩」である、との表示が正しいのである、の意見も附与されております。
40%を超える視聴率をどうして稼げたか、についてはいまやヨーロッパ最大のタバコ会社を買収して連結2兆円を超える「大企業」となったJTの陰謀という説、が説得力を持って囁かれております。「ヘビースモーカーのあなたでもこんなに走れる」とのキャンペーンに欽ちゃんが狩り出されたのだ、という訳でございます。考えてみれば永年に渡る喫煙のせいで不健体となった欽ちゃんは、恒例となったこの耐久マラソンの走者として選ばれるのには一番ふさわしくない「人物」であったのでございます。であるのにもかかわらず何故欽ちゃんが選ばれたのか、そこには広告会社とJTの深い陰謀が隠されている、と物知り顔は云うのでございます。
「見ててごらん、そのうち欽ちゃんがタバコを銜えた(ゴクロウさんのごあいさつ)といった写真や映像が雑誌やテレビに必ず流されることになるから」と真顔なのでございます。そういえば研ナオコといい、過去この番組の企画に登場したタレントには「噂のヘビースモーカー」が少なくなかったように思えるのでございました。しかし視聴者はそうした陰謀があることも知らずテレビ画面に向かって愚直に「欽ちゃんガンバレ」の声援を送ったのでございました。「人間の死ぬ瞬間を見れるかも知れない、それもタダで」と釘付けになっていた我が愚妻のようなのは少数派でございました。
いま真面目に欽ちゃんの「哀れな姿」のテレビ映像と向き合った、欽ちゃんと同世代の人達の間に、小さな波紋が起きております。60代、とはあんなにも哀れに体力が衰えるものなのか、と自信喪失されてしまったのでございます。年金問題の最中で、官や民が国を上げて60代は働き盛り、男盛りの元気な熟年運動を盛り上げんとするとき、破格のギャラに連れてエベレスト登頂を果たしたような「涙の出ない涙の演技」をして見せた欽ちゃんの罪は、その輝く芸能史を払拭するほどの重きもの、となるかも知れません。
老醜無残なり、でしょうか。
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