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村西とおるコラム
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2007年10月17日
ステキな笑顔を持つ人
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 亀田のオヤジの恫喝はプロの眼にはどのように映ったのでしょうか。その筋の知人に質問しましたら「あんな風に、大きな声で吠える相手はなんにも怖くない。本当に怖いのは、虫も殺さぬような大人しい顔をしていて、突然手を出してくる奴だ」とのことでございました。命のヤリ取りをする喧嘩に勝とうとするなら、相手に油断をさせてそのスキを突くのが一番、正面から射ったり切ったりしていたらコチラも必ず傷つくことになり、勝負に勝っても命を落とすことになりかねない、のでございます。


 いつも微笑みをその顔に浮かべている人がいました。その世界では著名な人でした。通常そうした立場にあれば、いつも子分を十数人したがえて、となるものですが、その人は違いました。東京で私と会うときはいつも一人、「秘書」の方は遠くに離れ座っていました。大阪の梅田の事務所や家で会うときも必ず人払いをしました。その日は珍しくもう一人、私達の間に人がいました。同じ稼業人ですが、組違いの京都の人でした。この方とも縁あって親しくお付き合いをさせていただいてました。話題は「ヤクザ映画」のことになりました。京都の方、が言いました「監督、なんでヤクザ映画が下火になったか分かるか。嘘が過ぎるからや。喧嘩のシーンでよく怒鳴り合うシーンがあるやろ。アレなんや。本物の極道はあんなに怒鳴ったりすることは絶対にあらへん。極道の喧嘩は相手の玉を取ること。コイツの玉を取ったる、と決心したら怒鳴らんと、はい、はい、と反対に静か頭を下げるもんや。人間、命のヤリ取りをすること決めたら心が震えて静かになる。相手を殺る、ということは自分も死ぬ。を覚悟することなんや。死ぬ、覚悟をした人間がナンデあんなにキャンキャン吠えんといかんのや。インチキばっかり撮って見せとるから、本職は馬鹿にして誰も観にいかん。日本の極道10万人がシビれるような本物のヤクザ映画、アンタも監督なら撮ってみんかい。いいか、本当に怖いのはニコニコ笑ってる極道やで」京都の人も、ステキな笑顔を持つ人でした。


 それから半年後、京都の人は自らの胸を短銃で射抜いて命を絶ち、そしてそのまた半年後、大阪の方は神戸のホテルで襲われて死にました。笑顔で「懐に七首」が、本当に怖い男なのでございます。




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