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村西とおるコラム
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2007年11月7日
プロスポーツ選手
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 行きつけのラーメン屋のオヤジは、元競輪選手でございます。20年ほど前、オヤジが31歳のときでございました。競輪選手としては一番油の乗り切ったとき、落車事故を起こしました。最後のジャンが鳴って第3コーナーにさしかかったとき、隣を走る競い合った選手から「ヒジ打ちを喰らって」転倒し、「全身数十ヵ所を複雑骨折」という重傷を負い、引退を余儀なくされたのでございます。オヤジは季節の変わり目になると、いまでも金属のボルトが入ったヒザが痛む、と嘆いております。


 競馬の競り合いでゴール前、騎手が激しくムチを使うのは、馬に対してだけではない、は周知の事実でございます。子供に人気のサッカーや紳士のスポーツを標榜する野球にあっても、そのフィールドでは明らかにルール無視の戦いが繰り広げられることも珍しくありません。彼等の危険な足技や送球の犠牲となって、過去いくたの有望なアスリートが選手生命を絶たれたでありましょう。神聖なる審判やファンに殴りかかった「無頼」なスポーツ選手は、星の数ほどでございました。かくのごとくプロスポーツ選手でルールを犯したことのない者など、皆無でありましょう。


 プロスポーツの魅力とは、「人生や名誉やお金」を賭けて全力で「勝負」に向かい、時には「ルール」を無視して闘う「むき出しのドラマ」にあります。人間のドラマの無い、キレイごとの単に勝った、負けたのスポーツは「プロスポーツ」の名に値しない、のでございます。


 その意味で「亀田家」の人達は「プロスポーツ」の世界のまごうことなき住人、といえる人達でございます。日本のオヤジは「亀田家」に嫉妬をしました。金や学歴や財産があればこその「家族愛」である、との「拝金至上主義」に毒された日本のオヤジにとって、金も学歴も財産も無い、無い無いずくしの「亀田家」の家族の愛の姿は、どうにも我慢ならないものでした。


 「金さえあれば、豊かでさえあれば」と「金儲け」のために、すべてを犠牲にしてようやく手にしたあげくの「喪失感」を、見すかされアザ笑われたような気がしたのでございます。女房に逃げられ、自己破産をし日本国中を敵に廻した存在になりながらも「ウチのオヤジは世界一のオヤジだ」と息子が称える男に、嫉いたのでございます。ひるがえって我々が身を思えば、もし死んだとしても三回忌、せいぜい七回忌止まりで「家族愛」に生きています。


 あの親子の瞳の中には互いの永遠がある、人生で永遠をつかむことに失敗した日本のオヤジの嫉妬心が「亀田家」を許さなかったのでございます。




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