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見えないものを「見える」と語って人を誑かす詐欺師、が中国にもおりました。中国の奴等は日本のソレと違ってビー玉のような大きなダイヤの指輪や、髪を黄金色に染めたり、オカマ言葉を話したりはしてませんでしたが、「僧衣」を身にまとっていました。広州の五ツ星レストランでの出来事でした。
朝食時、ビュッフェスタイルのそのレストランで、喰べ物を皿に盛って自分の席に戻ろうとしたとき、コチラの方に向かって手を振る人間の存在に気づきました。見るとレストランの隅のテーブルに座って、黄色の僧衣を着て頭をツルツルに丸めた恰幅のいい「お坊さん」が、ニコやかな笑顔で私を見ていました。年の頃は30半ば、といったところでしょうか。目が合うと彼は両手を前で合わせて目を閉じ、私に向かって合掌しました。「!?」驚いて皿に盛った料理を落としそうになった私でございます。
うろたえながら自席に戻った私に、同席していた中国の友人が笑いながら言いました。「あなたが今見たのは詐欺師です」「!?」「彼はあのようにして、このレストランに来る客の誰彼に、ああした合掌をして見せるのです」「!?」「ホラ見てごらんなさい」中国の友人の視線の先を追うと、先程の「お坊さん」が皿を片手に持ちながら、オードブルの大皿から料理を選んでいる中年のビジネスマン風の男性に近づき、何やらニコやかに話かけました。中年の男は笑い返しながら二言、三言話をしましたが、なおも熱心に話しかけるお坊さんを、最後は無視するようにして自分のテーブルに戻って行きました。
「アノ坊主は男性に何を話したと思われますか。男性には、あなたの顔には金運が見える、近いうち、とんでもない大儲けの話が転がり込んでくるでしょう、と云います。女性には、あなたの顔には不吉の相が出ています、と云います。」男性には出世や金儲け、女性には、失恋や病気といった不安にさせることを云って関心を持たせ、幸運を掴み、厄災から逃れるように念じてあげましょうと《お布施》をせしめるのです。」私がレストランで過した一時間余りの間、実にこまめに休むことなくこのお坊さんは、老若男女を問わず来る客来る客に皿を持っては接近をはかり、語りかけ続けたものでございました。
中国の友人が続けました。「すでに英語で外国人に語りかけるグループが出現しています。遠からず日本語のグループも誕生するでしょう。気をつけて下さい」お坊さんは見事に池田先生にソックリ、なのでございました。
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