飯島愛ちゃん〜村西とおる〜
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村西とおるコラム
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2008年12月26日
飯島愛ちゃん
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飯島愛ちゃんとはビデオでご一緒したことはありません。

テレビのお仕事では何度か共演したことがあります。

最近では二、三年前TBSのサンデージャポンに私が出演したときお会いしたのが最後となりました。

十五、六年前だと思います。彼女がいまほどの人気者となっていなかった頃、新潟のテレビ局のお仕事で少しの期間お仕事をご一緒しました。



その番組では彼女以外に7、8人のセクシー系の女優やタレントさんが一緒に出演していました。

その中でも彼女のスタッフや共演者に対する気配りが半パでなく、感心させられました。

その番組は一日で二週分二回の収録をしておりました。

一回分の収録が終了しますと休憩タイムとなります。

約一時間ほどの時間ですがセクシー系の女性の共演者たちは一団になって囲みをつくり、飲んだり喰べたりお喋べりをしたりして過ごしておりました。

愛ちゃんだけはその輪の中に入らず、男性スタッフや男の出演者の居る場所で休憩時間を過ごしていました。

男性スタッフや男の共演者に笑顔で話しかけ、自分が買ってきたジュースやお菓しを配ったり、先輩の広告代理店のお偉いさんの肩をモんだりとサービスに努めていました。

収録が早目に終わりますと、番宣用のスポット撮影を急遽外ロケで行なう、という話になることがございました。

誰れか協力して付き合い、出演してくれるタレントさんいませんか、とディレクターが声をかけるのですが「お父さんが東京駅で待っているから」「お母さんの病院行きに付き合わなければいけないから」「犬がネコが金魚が」と皆早く東京に帰へりたがり、協力を名乗り出る者はいませんでした。

どうせローカルのテレビ局の仕事なんて、と舐められていました。

が愛ちゃんだけはそんなとききまって気軽に手を上げて「わたし行く」とロケに行くことを快諾していました。

彼女とて実は全く東京に用事がなかったワケではなかったと思います。

いつも仕事を最優先するプロ意識が彼女にはあったのです。

彼女があれほどの人気者になれたのは、そのかくれたプロ意識とスタッフに愛された人柄の良さ、によるところが大きかったように思います。

彼女のAV作品は以前私が経営に参画していたクリスタル映像から発売されました。

クリスタル映像は彼女を一年間拘束する代金として8000万円を彼女の所属するプロアクションに支払いました。

今から16年前の金額としては破格のものでした。

彼女のAV作品のお陰で当時倒産寸前だったクリスタル映像は息を吹きかえし、彼女の作品のおかげで約10億円近い利益を獲得することに成功しました。

その後クリスタル映像以外にも彼女はAV出演をしました。

それらのAV作品を発売したどのメーカーも会社設立以来の記録的なベストセールを達成し、その恩恵にあずかりました。

約20作品のAVが彼女の出演作品として残っています。

彼女は自からがその半生を書いたとする自伝の中で、AV出演時代のことを振り返って思い出したくない「屈辱的経験であった」と記しております。

またAV業界に対して悪しざまに罵詈雑言を放ち批判しております。

だからAV業界関係者の間では、彼女に好感を持っている者は少数派です。

彼女がどう考えようと彼女が人気者となる為には「AV出演」は必要なものでした。

彼女がその自伝で告白している家出、万引き、援助交際、中絶、性病、AV出演、整形といった「阿修羅の経験」があればこそ、彼女はスターとなり得たのでした。

誰れしもスターになる為には「物語」を必要とします。

時代は彼女のその「阿修羅の物語」を受け入れ愛したのです。

人々は「清濁合わせ飲んで清しか残らず」と、そのピュアな人間性に魅せられ喝采したのです。

かつて愛ちゃんは「あなたにとってお金とは何ですか」と聞かれて「精神安定剤です。」と答えています。

信頼していた個人事務所経理担当者の裏切りと使い込み、持病の悪持による芸能界からの引退、と続いて「精神の安定」は失われました。

ネット通販する会社を立ち上げる準備中、だったといいます。

中小企業を経営してみれば分かるのですが、商売には百発百中はありません。

それどころか百発のうち99発は間違いなくハズレるもの、それが商売というものです。

彼女の心の純な「しなやかさ」はそうした商売には決して向かなかったと思います。

予想外のストレスに直面して身悶えしていたに違いありません。

頑張っても、頑張ってもうまくいかない人生、を彼女は生きたように思います。

しかしそれは世の中の人達の99%の人生の「姿」でもあります。

彼女の他者と比べてたぐいまれなきは「人より何倍もの優しさ」でした。

人間の最高の価値である「やさしさ」を「人より何倍も持っていた」愛ちゃん、

彼女はその人生で何も追いかけてはいなかったように思います。

彼女のありのままを受け入れ、許し愛してくれる存在以外のなにものも。

ともすれは「自業自得」と突き放ちがちなマスコミも今回は、一面でその死を報道したスポーツ紙全紙をはじめとして皆彼女の死を悼みました。

人の価値は棺を覆って後定まる、といいます。

彼女は見事な人生を生きたのです。これから永い間クリスマスが訪れる度に隣人を「やさしく愛した」彼女の笑顔が、多くの人達の胸に去来するでありましょう。

合掌。


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