第5回 「アイドル撮影会に集えしもの。」
俺は監督業の傍ら、というよりはほぼ平行してアイドルイベントの取材の仕事なんかもしてるんだ。
趣味と実益を兼ねた、とは正にこの事だと思うよ。
アイドルイベントと言っても一概には言えないけど、大きく分けて歌系アイドルのライブイベントとグラビアアイドルの撮影会イベントがあるな。
もちろんその両方や、どちらにも属さないトークイベントや握手会イベントなどもあると思うけど。
俺は主に撮影会イベントの取材に行くことが多いんだな。つまりグラビアアイドルさんを中心としたイベント。
今まで趣味ではハロプロのライブイベントや握手会しか行ったことのない俺としては、グラビアアイドル撮影会というのはまた似て非なる別世界であり、カメコ(カメラ小僧)さんたちにも、同じアイドルヲタにして別人種の様な気質の差を感じたね。
撮影会を行うアイドルさん達もまた、ハロプロと違ってインディーズであったり、新人アイドルであったりとアンダーグラウンドな雰囲気も漂うわけなんだ。
カメコの皆さんも俺と同じアイドルヲタでありながら、歌やパフォーマンスを楽しむというよりは、やはりカメラや写真を撮る事の方が好きなんだろうなと思うよ。
俺は取材がてらビデオカメラでイベントの模様を撮影したり、1眼デジ(デジタル1眼レフカメラの略称)でスチールを撮影したりするんだが、カメコヲタさん達のカメラやレンズ、ストロボの装備の方が本格的なんだよな。中にはそんな大きな望遠レンズで何を見ているんだ?的な御仁もいるんだw
その他にはコンデジ(コンパクトデジタルカメラの略)やチェキ(富士フイルムが発売するインスタントカメラ。カードサイズの写真が出てくるので、アイドル撮影後にその場でサインを貰ったりしてカードのようなコレクターズアイテムとして成立し、ヲタに人気がある)で気軽に撮影される人たちや、稀に今でも使い捨てフィルムカメラで参戦する人も見かけるな。一般的に携帯のカメラで撮影するのは認められないんだ。
さて今回はそんな撮影会を中心としたアイドルイベントに通うヲタの一人に話を聞いてみた。仮に彼をIさんとしよう。俺がイベントに取材に行くと、俺がアイドルヲタ監督だと認知している方々も少なからずいるんだよ。彼はそんな中の一人であるわけだ。
板垣「どうも〜」
Iさん「どうもどうも」
板垣「いつもイベントでは良く顔を合わせるわけですが。今回はIさんを取材ということで」
Iさん「こんな私で良かったらw」
板垣「それでは早速。Iさんがアイドルオタクになったきっかけは?」
Iさん「私は元々鈴木亜美(前:鈴木あみ)さんのファンで」
板垣「あみ〜ゴね。懐かしい。あみ〜ゴとモー娘。は最初ASAYANでライバル同士でしたねえ」
Iさん「ええそうですあみ〜ゴ。当時は鈴木亜美さんはアイドルと言うよりはアーティスト、歌手と言うスタンスでしたよね」
板垣「そうそう。当時モー娘。の方が企画系イロモノアイドル、あみ〜ゴは誰がファンになっても恥ずかしくないアーティストでした。Iさんの年齢的にも当時あみ〜ゴのファンになるって自然な流れでしょうね」
Iさん「それで鈴木亜美さんが当時『UP to boy』(アップトゥボーイ。ワニブックスが発行するアイドル雑誌)に出ていて」
板垣「出たw UP to boy。こちらはモーニング娘。始めハロプロアイドルも多数掲載されてますね。写真集と連動したりして、掲載されるグラビアの品質が高く、ヲタの評価も高いです。当時はUP to boyの画像をヲタが無断使用した(PC用の)壁紙なんかが無数に(ネット上に)UPされたりしててね」
Iさん「そうなんです。それでUP to boyの裏表紙を見たとき、それが酒井若菜さんで」
板垣「はい」
Iさん「こんな可愛い女の子がこの世に存在するのかと・・・」
板垣「(爆笑)なるほどwwwwwwwwwwwwwwwwww それでグラビアアイドルヲタの世界へ」
Iさん「ハイw そこから酒井若菜さんのDVD発売記念イベントに行くようになりました」
板垣「はいはいなるほど」
Iさん「最初は酒井若菜さんに会いたい一心で。それでグラビア系のイベントには撮影会も含まれるというのも初めて知りました。当時はだから使い捨てフィルムカメラで参加しましたね」
板垣「それで」
Iさん「それからは追いかけるアイドルが替わっていったり」
板垣「モーヲタ(モー娘。ヲタ)で言うところの推しメン変更(推してるメンバーを変える)みたいな」
Iさん「ええ。同時にカメラにも凝っていきました。銀塩(フィルム)の1眼レフを購入しまして」
板垣「そこから今のようなDVD発売イベントではなく、撮影会主体のイベントに参加するようになったのは?」
Iさん「好きな子も変わっていって、いろいろ知るようになって、こんな世界があるのかとw 3年ぐらい前からでしょうか」
板垣「それで現在は今のお気に入りの子を追いかけてるわけですね」
Iさん「そうなんです。カメラも1眼デジになりました」
板垣「俺なんかはモーヲタになってヲタ活(ヲタク活動)している中でのモチベーションってのは芸能人を見たい、有名人に会いたいってミーハーな部分もあったんです。当時なっちやゴマ(後藤真希)、辻ちゃん加護ちゃんってのは世間一般から見ても立派な有名アイドルだったわけで」
Iさん「ええ」
板垣「アイドル撮影会イベントなんかは芸能人というよりは、まだまだ一般的知名度はこれからというアイドルさんも多いですよね」
Iさん「言い方は悪いですが、一般人の女の子に毛が生えた程度の子だったり」
板垣「それに撮影会イベントに参加するのも安くない。1日に何部かに分かれていて、1部参加するのにも数千円、1日通しで全部参加したら2〜3万円かかったり。それでも通い続けたくなる魅力って何ですか?」
Iさん「やっぱり圧倒的な近さですかね。ハロプロのようなメジャーアイドルとは逆ですね」
板垣「アイドルの重要な資金源の一つの物販(公式グッズの販売)にしても、撮影会ではアイドル本人が手売りしますからね」
Iさん「物販はもう触れ合いの場なんですよ。握手やサインもあるし、何よりアイドルと会話したりするのが楽しいわけで」
板垣「ハロプロだとメンバーは(ステージ)1段上の存在という感覚が強いんです。だから逆に握手会なんてすごいドキドキ感が伴うんですけどねえ」
Iさん「こっちは下手するとアイドルが真横にいたり、イベント帰りの駅のホームや店で一緒になっちゃったりと身近過ぎてこっちが気を遣う事もありますよ。それに私が彼女を支えているという義務感も生じ安いかな」
といった感じでヲタ話は尽きなかったなあ。やはり根っこは同じアイドルヲタと言ったところか。
俺自身はアイドルには身近な女の子ではなく、精神的幻想を強く求める分、嗜好が分かれるのだろうな。うん。
ヲタが何を求めてるって、そりゃあ、お互い手に入らないもんなのかもしれないなあ。
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