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2006年1月31日
BSE問題・専門家からの反論(BSEシリーズ前編)

 1月26日に掲載したBSE(狂牛病)の記事に関して、リスク論の専門家から、「農水省の役人の言っていることはデタラメだ」という指摘が来た。


 背割りの実態について、農水省やBSE問題担当の各委員が知らないということは絶対に無いと、この専門家は断言する。BSE問題は、リスク論をはじめとする研究領域で論文や発表が次々になされている領域の一つで、アメリカが危険部位の除去を行う時に衛生管理を徹底していないということは、研究者の大半に周知のこととなっているらしい。当然、委員を務めるメンバーも例外ではない。むしろ、アメリカでの除去方法は衛生的に見ても安全だという判断が成立しなければ、輸入再開を容認することもできない。それどころか、「危険部位を除去すれば安全だとは限らない」という主張をする専門家もいるとのこと。そして、そうした主張があることは、委員会関係者の間でも認識されているという。


 前出の専門家は、なぜアメリカでは衛生管理が不徹底なのかということについても語ってくれた。例えば、1月26日の記事でコメントを掲載した屠殺場関係者の見解にも一部重なるが、アメリカでは扱う量が大規模であるため、生産者による厳密な管理や、それに対する行政等による恒常的な監視が不徹底であるということ。アメリカ人の気質から言って、「運が悪ければBSEに感染しても仕方ない」くらいに考える人々が多いため、重要な論点になりにくいこと。その他、様々な理由が挙げられるという。


 輸入再開が決定される過程では、再開を推進する側のデマに近い言説があった。例えば、輸入再開前に探偵ファイルが(社)日本フードサービス協会に取材を行った(2005年11月19日のスパイ日記)際に、応答した担当者の発言。「輸入されるのはそれまで輸入していた量の2割程。米牛肉を使用したい飲食店は多いが、使用できる店は限られてくる」と言うが、これはあくまでも輸入再開直後のことを述べていたに過ぎない。


 アメリカの戦略としては、今後輸入対象となる牛肉の範囲を拡張してほしいと日本に強く要求していくということだったようだ。つまり、米牛肉の輸入量が限られているという意見は、まずは輸入を再開して既成事実を作り、なし崩しに輸入量を拡大させていくための口実でしかなかった。ところが、国内の消費者は依然として米牛肉に対する不信を抱いていること、各牛丼チェーンやレストランも米牛肉の使用をためらう傾向にあった。仮に今回の輸入再び停止という事態が発生していなかったとしても、当初想定していたよりもアメリカの計画は成功しなかったかもしれない。


 輸入再開をめぐる欺瞞の実態については、次回更に追及する。


 (中編へ続く



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