|
前回に続き、BSE問題へのアメリカの対応について記す。
前回触れた探偵ファイルの記事で、(社)日本フードサービス協会は「米牛肉を食べたくない人はまずお店に聞いて、それから食べる食べないの選択をする」ことを勧めた。輸入再開に伴い、店側に産地表示を行うよう勧告する動きがあったとはいえ、本当の論点はそこにあるのではない。問題は、安価な米牛肉は、数多くの加工食品の材料に使われていること、そしてその大半が、材料の産地までは記載していないことだ。
それどころか、加工食品の材料を下請け会社が製造している場合、加工食品製造業者は、下請け会社が使用している材料について、把握していないという場合も少なくないという。したがって、「消費者が牛肉の産地を店で確認すればよい」というのは、上記のような問題点を隠蔽するための発言である。実際のところは、加工食品、各種調味料、それらが使用されている外食などで、消費者が米牛肉を避ける方法は、極めて限られている。また、BSE発生の原因となった飼料は、アメリカでは現在も使用され続けている。そして、牛だけでなく、その飼料に関する管理も、決して徹底されているとは言えないようだ。
(社)日本フードサービス協会は、「食品安全委員会も様々な角度から国産牛と米国産牛を比較し、米国が日本への輸出用に行う特別管理措置(月齢20ヶ月以下、危険部位の除去)を遵守したと仮定した場合「リスクの差は非常に小さい」としている」と述べているが、この見解にも問題がある。これは、あくまでも「仮定」でしかない。前回触れたが、アメリカの畜産業は極めて規模が大きいこともあり、杜撰な管理が横行している。例えば、建前上は全ての牛にナンバリング(管理のための通し番号をつけること)をして、データ管理がなされているはずなのだが、必ずしもそのようにはなっていないという。
以前日本のテレビ局も取材していたが、大規模な牧場を経営している畜産業者自身が、「飼育している牛を全部きちんと管理できるのは、比較的小規模な業者に限られる」などと発言していて、それを大きな問題とは考えていない。具体的には、日本への輸出対象となる牛の年齢について、その牛が生まれた年月日やその後の飼育状況について全くデータが無いにもかかわらず、市場に流通してしまうということがある。それどころか、牛の年齢に関する詐称が行われていることもあるという指摘も出ている。また、BSEに感染している疑いがあるかどうかを目で判定するという手法も、科学的に見てどこまで厳密性を確保できるかという点で、疑問視されている。
こうした点を曖昧にしてきた日本の輸入推進側の問題点については、次回。
(後編へ続く)
|